福岡大学病院の肺移植チームは、4月7日(水)、福岡大学病院において脳死肺移植を実施しました。
今回は、お一人のドナーから頂いた両肺を左右に分け、お二人の患者さんに同時並列で移植を行うという形態の肺移植(Paired lung transplant)となりました。
臓器移植医療センター長も務める白石武史診療教授に、肺移植について話を聞きました。3回に分けてお伝えしています。
―肺移植治療における肺移植チームの想いを教えてください。
肺移植は、重い肺のご病気のために呼吸困難に苦しまれている方、余命が制限されている方に適応されます。臓器提供数が少ないために、待機期間中に亡くなられる方が少なくないことや、臓器移植の中でも最も困難な移植であるために期待した結果とならない方もおられるという現実もあります。
しかし、多くの患者さんは肺移植によって元気になり社会に復帰されます。酸素を吸入しながらベッドの上で闘病されていた方が、移植後は酸素なしで家庭や学校・職場に戻られ、旅行や軽いスポーツを楽しまれるようになる方もおられます。ご自分の余命を心配されていた患者さんが元気になられて退院し、元気に外来へ来られる姿を拝見すると、厳しい「臓器移植という仕事」にかかわって良かったと思います。
一方、臓器移植が「篤志の方からの臓器提供」で成り立っていることも重要な点です。ドナーの御家族は、ドナーとなった身内の体の一部が「日本のどこかで人の命を支えている」という気持ちを、家族を失った悲しみを癒す縁(よすが)にされていることも多いと聞きます。私達の肺移植チームは、ドナーに対する敬意と感謝もひと時も忘れません。