FUKUDAism(フクダイズム)

  • facebook公式アカウント
  • twitter公式アカウント
  • Instagram公式アカウント
2021622
医療

福岡大学病院で脳死肺移植を2例同時に実施 ~第1回:肺移植の概要~

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

福岡大学病院の肺移植チームは、4月7日(水)、福岡大学病院において46例目と47例目の脳死肺移植を実施しました。

今回は、お一人のドナーから頂いた両肺を左右に分け、お二人の患者さんに同時並列で移植を行うという形態の肺移植(Paired lung transplant)となりました。現在(2021年4月)福岡大学の肺移植プログラムは、待機患者数で全国4番目、移植実施数で全国5番目であり、福岡大学病院は全国的にも有数な肺移植実施施設となっています。

臓器移植医療センター長も務める白石武史診療教授に話を聞きました。3回に分けてお伝えします。


―どのような患者さんが肺移植の対象となりますか。
臓器移植は、既存のいかなる治療でも治せない「重い病気の方」を救命する治療方法です。薬や手術で治せないので、その臓器を「交換してしまう」という究極的な考え方です。肺移植は、重い肺のご病気で呼吸困難に陥り、余命が厳しく制限された状態の方に実施されます。

―肺移植はどこで実施されていますか。
臓器移植の中でも特に「心臓・肺・肝臓」の移植は技術的に難しく、指定された特別な施設でしか実施が許されていません。肺移植が許されている(実施指定施設)は、全国で東北大・獨協大・千葉大・東京大・藤田保健衛生大・京都大・大阪大・岡山大・福岡大・長崎大の10施設だけです。福岡大学はその中の一つとして九州一円の患者さんに対する肺移植を担当しています。

―肺移植の形態を教えてください。
肺移植には「脳死肺移植」と「生体肺移植」があり、前者は不幸にして脳死になられた篤志の臓器提供者(ドナー)から肺を頂いて移植する方法で、後者は健康なご家族・近親者から肺の一部を頂いて移植する方法です。また、「脳死肺移植」には、左右2つある肺のうち一方だけを入れ替える「片肺移植」と両方の肺を入れ替える「両肺移植」があります。

―肺移植を受けられる順番はどのように決まるのですか。
「脳死肺移植」を希望する患者さんは実施指定施設で検査を受け、国レベルの審査を通過した後に日本臓器移植ネットワーク(JOT)に「待機登録」を行い、ご自分に合った臓器提供者が現れるのを待ちます。待機期間は平均2年半、提供される順番は、「血液型や体格がマッチする範囲」で完全に「登録順」です。


細かく手術スケジュールが立てられる