FUKUDAism(フクダイズム)

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202079
医療

福岡大学病院で見かける黄色いエプロン ~ボランティアとして患者さんのお手伝いを続ける~

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福岡大学病院新館の正面玄関を入ると黄色いエプロンを付けた女性が、患者さんに受付の方法を説明していました。少し離れた場所では、黄色いエプロンを付けた別の女性が車イスに乗る患者さんの援助をしていました。

福岡大学病院では、ボランティアの方に黄色いエプロンを付けていただき、患者さんが困った時のお手伝いをお願いしています。現在41人の方にボランティアのご協力を頂いており、その中から、久保勝子さん、麻生純子さん、竹下智子さんの3人にお話を伺いました。

 

麻生さん(左)、久保さん

竹下さん

―どのようなボランティアをされていますか
【久保・麻生】
新館の受付付近で、検査や診察場所の案内、受付方法の説明、車イスを利用される方の援助などをしています。

【竹下】
がんサロン(本館1階)に来られた方への資料提供、がんに関する新聞記事のスクラップ、相談員への取り次ぎなどをしています。


―ボランティアをしようと思ったきっかけは何ですか
【久保】
介護ヘルパーをしていて70歳で退職しました。年を取るといろいろな方にお世話になるので、自分が何かできるうちにお役に立ちたいと始めました。また、孫も病気をしていて、「あの子も誰かに助けてもらって生きている。私も誰かのためにできることを」、と思ってお手伝いさせてもらっています。

【麻生】
福岡大学病院で看護師をしていました。在職中、患者さんから外来受付付近などでよくお尋ねがありました。もっと丁寧にお答えしたいとずっと思っていましたが、時間に追われ忙しくて十分にできていませんでした。看護師は皆そうだろうと思い、もし案内する人がいれば患者さんも病院の職員も助かるのではと思って、定年後に始めました。もう20年近くになります。

【竹下】
専業主婦をしていました。ある時、私自身が病気になり闘病生活を送ることになりました。治療の末、回復して元気になった時、自分に何かできることはないかな、と心に浮かびました。福岡大学病院の定期受診時に、病院内でボランティアの募集動画を見て応募しました。


―ボランティアを通じて感じることは何ですか
【久保】
患者さんから「ありがとうございます」の言葉を頂いた時、とても嬉しくなります。患者さんから「話を聞いてもらってスッとした」と言われることもあり、誰かの役に立てていることを感じます。患者さんの方から「元気にしてた?」と言われることまであります。

【麻生】
福岡大学病院の医療に対する期待の大きさを感じます。「良い病院と聞いたから来た」と言われる患者さんやご家族がいたり、遠くからでも一人で受診に来られるお年寄りの方もいらっしゃいます。

【竹下】
自分が病気を経験して、病気を身近に感じるようになりました。確かに病気は嫌なことかもしれませんが、病気を通して自分に問題提起されているような捉え方ができるようになりました。病気を受け入れる気持ち、病気と一緒に生きていこうと思う気持ちは治療にも良い方向に働くと感じています。そのようなお話を患者さんやご家族の方と共有できればと思っています。

福岡大学病院の外来には、年に約40万人の方が受診されます。付き添いの方を含めると、かなり多くの方が病気の不安を抱え病院内を行き来されています。その不安が少しでも癒え、日々の診療がスムーズに行えている陰には、お三方のようなボランティアの方のお力があります。

黄色いエプロンは、ただ「見つけやすいように」だけではなく、それを纏った人から放たれる「癒し」と「安心」の拠り所のような存在となっています。