福岡大学薬学部では、人と人が繋がるのために大切なコミュニケーションを重視して、より社会に貢献できる人材の育成を目指しています。
薬学部3年次生対象の科目「コミュニケーション学講義(責任者:神村英利教授)」では、がん医療の現場を想定し、医療者から患者への「悪い知らせを伝えるコミュニケーション」についてロールプレイを行っています。悪い知らせを伝える際には、相手の言葉を受け止め言語化する「反復」、相手の心の奥底にある言葉を待つ「沈黙」、相手の苦しみや希望を深める「問いかけ」が大切となります。良いコミュニケーションが行えると患者も医療者も居心地の良い状態になりますが、その一方で悪いコミュニケーションでは患者は他者との交流を拒否したり、医療訴訟やペイシェントハラスメントに繋がることもあります。
学生は医療者役、患者役、患者家族・親族役、観察者役(タイムキーパー)の4人グループに分かれて、10分間ロールプレイを行いました。真剣な表情で全ての役に向き合い観察することで、患者の価値観、人間性に配慮することの重要性など新たな気づきを得ることも目的としています。
ロールプレイを体験した学生からは、「友人とのコミュニケーションとは違い、反復、沈黙、問い掛けを行うのが難しかった」という声がありました。
本科目の評価を担当した小野和彦講師(地域医療薬学)は、「患者の心情や背景を考え真摯に対応しようとした姿勢が見られ、素晴らしかったです。将来薬剤師として現場に立てば、このような深刻な場面に接することもあるため、今回のロールプレイを良い機会として、学生には反復、沈黙、問いかけのコミュニケーションスキルを磨いてほしいです」と話します。
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