『福岡大学学園通信』第72号(令和3年12月発行)では、「学びの証」と題して、さまざまな分野で学ぶ学生たちの卒業論文・修士論文を紹介しました。
その続編として、卒業論文・修士論文から導かれた結論や成果、今後の課題などについて伺いました。ぜひご覧ください。
今回は、人文学部歴史学科 北村 弥夕さんの卒業論文 「 牛痘種痘法普及からみる地域特性ー 佐賀藩の場合 ー」を紹介します。
◎卒業論文のテーマ
牛痘種痘法普及からみる地域特性ー 佐賀藩の場合 ー
◎論文の概要
江戸時代に普及した天然痘のワクチンである牛痘種痘法について、地元の佐賀を中心に研究しました。藩の史料や農村の記録文献を読んだ結果、普及には藩の上層部が人々に効果を示し、ワクチンを絶やさないように計画的に活動を行ったことがわかりました。また、佐賀藩は、藩主の意向や立地面から、外国の進んだ技術を早期に取り入れ、普及できる環境であったことがわかりました。
◎このテーマに決めたきっかけは?
近世における感染症について当時の人々はどのように対応していたのか、何か対策等はあったのか疑問に思ったことがきっかけです。加えて、佐賀への理解を深めたいと思いました。
◎論文執筆を終えて
異国から伝わった技術に対して、人々は怪しみ、根拠のないうわさが飛び交い普及を妨げました。コロナ禍のワクチン導入の混乱と重なり、現代を生きる私も共感できる内容でした。
論文執筆は就職活動と重なり両立が大変でした。加えて史料も江戸時代の文字で読解に苦労しましたが、だからこそ、論文完成の達成感と喜びは格別でした。
◎今後に生かしたいこと
大学では歴史のおもしろさや楽しさ、奥深さを実感しました。市役所に勤めることとなるため、ご縁があれば市の歴史に関わる業務につき、市民の皆さんが歴史を通して地元を誇りに思えるようにしたいです。
◎福大での4年間を振り返って
部活動や授業、ボランティア活動などで多くの人と関わり、とても楽しく、貴重な経験がたくさんできました。
また、大学生はやらなければならないことも多く、私は「TO DOリスト」を使って優先順位をつけていました。文字に起こすと頭の中が整理され効果的でした。大学での経験を今後に生かしていきたいと思います。