FUKUDAism(フクダイズム)

  • facebook公式アカウント
  • twitter公式アカウント
  • Instagram公式アカウント
2022623
教育
研究

【学びの証】「わが国の法人税法における一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に関する一考察」-江頭 弘輔さん-

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

『福岡大学学園通信』第72号(令和3年12月発行)では、「学びの証」と題して、さまざまな分野で学ぶ学生たちの卒業論文・修士論文を紹介しました。

その続編として、卒業論文・修士論文から導かれた結論や成果、今後の課題などについて伺いました。ぜひご覧ください。

今回は、大学院商学研究科博士課程前期 江頭 弘輔さんの論文 「わが国の法人税法における一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に関する一考察を紹介します。


◎卒業論文のテーマ

わが国の法人税法における一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に関する一考察

◎論文の概要

法人税法第22条第4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(以下、公正処理基準)」の定義について研究しました。日本では法人の課税所得を「公正処理基準」に基づき計算するとしていますが、「公正処理基準」の具体的な内容については明文がありません。そのためどの会計基準が「公正処理基準」に該当するのかが定かではなく、特に経済発展に伴い会計基準が複雑化した近年では、「公正処理基準」を争点とした税務訴訟が増加傾向にあります。

◎このテーマに決めたきっかけは?

「公正処理基準」の該当性を争点とした税務訴訟は増加傾向にあり、公正処理基準の定義を明らかにすることが争いの抑制に繋がると考えました。

◎今後の研究課題は?

第一に、新たな事前照会制度として「Compliance Assurance Process of Japan」という制度の導入を提言しましたが、この制度の実行可能性や費用対効果等に関する検証が不十分でした。第二に、今回はアメリカの事前照会制度を参考にしましたが、その他の諸外国における事前照会制度についても整理した上で提言すべきでした。

◎執筆を終えての感想

「公正処理基準」は、制度の根幹にある概念で研究領域が広く、独自の研究の「軸」を決めるのに時間がかかりました。この点は、ゼミの山内先生との膨大なディスカッションにより方向性を定められました。とても感謝しています。

◎今後に生かしたいこと

修了後は税理士法人で税務会計業務に携わります。お客様の利益を最大化できる専門家となるため、生涯を通じて学習・研究を続けていこうと決めています。

◎大学院での2年間を振り返って

他の院生とのディスカッションの機会が多く、授業もディベート形式で進められるので、論理的思考力が自然と養われました。大学院に進学してよかったと心から思います。