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2022630
教育
研究

【学びの証】「RNA における変異原を介した変異誘発機構の解析(仮)」-光岡 和真さん-

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『福岡大学学園通信』第72号(令和3年12月発行)では、「学びの証」と題して、さまざまな分野で学ぶ学生たちの卒業論文・修士論文を紹介しました。

その続編として、卒業論文・修士論文から導かれた結論や成果、今後の課題などについて伺いました。ぜひご覧ください。

今回は、理学部化学科の光岡和真さんの卒業論文 「RNA における変異原を介した変異誘発機構の解析(仮)を紹介します。


◎卒業論文のテーマ

RNA における変異原を介した変異誘発機構の解析(仮)

◎論文の概要

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。私たちはウイルス感染の危険に晒されています。一方で、私たちの体にはウイルスが入ってきた時に防御するシステムが備わっており、そのシステムの一つに「RNA干渉」があります。
「RNA干渉」とは、標的のRNAの翻訳を阻害し、遺伝子の発現を抑制する現象です。しかし、「RNA干渉」の分子生物学的メカニズムには未だに解明されていない点が多くあります。そこで、その現象の中心となって働くArgonaute-2タンパク質のRNAに対する機能解析を行うため、昆虫細胞(Sf9細胞)を使ってArgonaute-2タンパク質を精製し、RNAに対する活性を解析しました。

その結果、昆虫細胞からArgonaute-2タンパク質を精製することができました。さらに、精製したArgonaute-2タンパク質を使ってRNAに対する活性を解析したところ、RNA切断活性を確認できました。ただ、その活性はとても弱いものでした。このことから、「RNA干渉」にはArgonaute-2タンパク質の他に関与している因子があると結論付けました。

◎このテーマに決めたきっかけは?

RNAで生じる変異誘発の原理を研究していきます。これらを調べることで、ウイルス感染症に対する新たな対策や未知のウイルスへの防御につながると考えています。

◎今後の課題や論文執筆を終えて

課題は二つです。一つは、今回精製したArgonaute-2タンパク質は純度が低かったので、より純度の高いタンパク質を精製できるようにすることです。
二つ目は、「RNA干渉」のさらなる機能解析を進めることです。Argonaute-2タンパク質と他の因子の相互作用を観察し、解析を行う必要があります。

論文を執筆する中で、「次はこういう条件で実験しよう」と考える機会になりました。研究の目標に向かってさらに邁進していこうと思います。

◎今後に生かしたいこと

大学院に進学し、今の研究をさらに進めていきます。学会等で発表の機会も増えると思うので、スライド作りや発表方法などに今回の経験を生かしていきたいです。

◎福大での4年間を振り返って

入学してからの2年間は他の学部の学友と一緒に授業を受け、多様な視点で物事を見る経験ができました。人とのつながりも広がりました。そして、化学科でより専門的な分野を学んだことで興味が深まり、大学院進学を決めました。化学科の同志との4年間はかけがえのない思い出です。