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2022419
教育
研究

【学びの証】「『性の多様性』を実現していく社会を作っていくために」-重松 泰成さん-

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『福岡大学学園通信』第72号(令和3年12月発行)では、「学びの証」と題して、さまざまな分野で学ぶ学生たちの卒業論文・修士論文を紹介しました。

その続編として、卒業論文・修士論文から導かれた結論や成果、今後の課題などについて伺いました。ぜひご覧ください。

今回は、スポーツ科学部健康運動科学科の重松 泰成さんの卒業論文「『性の多様性』を実現していく社会を作っていくために - 教員に求められる資質とは -」を紹介します。


◎卒業論文のテーマ

「性の多様性」を実現していく社会を作っていくために - 教員に求められる資質とは -

◎論文の概要

昨年の東京オリンピックで、「トランスジェンダー」の選手が初めて自認する性で出場が認められ、話題となりました。重量挙げ女子に出場したこの選手は男性として生まれ、のちに性別適合手術を受け女性となりました。
そこで私は、「トランスジェンダーの選手が自認する性で出場すること」について学生アスリート92人にアンケートを実施、その結果を検証して出場条件について論考しました。その結果、回答者の7割が「賛成」したものの、「競技の公平性を担保できるのか疑問だ」との意見が多く寄せられました。私も、現在の国際オリンピック委員会の基準ではトランスジェンダー女性が有利になるため、科学的な根拠をもとに、新基準に改正する必要があると思います。
体格や筋量の差が結果に大きく影響を及ぼすスポーツでは、一定の区別が必要である一方で、男女の区別がない馬術のように、「技術」を競うスポーツ(例:アーチェリー・射撃・カーリング...)においては、ジェンダー平等を試行してもよいのではないかと考えます。
今後も、全力かつ公平に競技できるように、議論を深めることで、スポーツ界におけるトランスジェンダー理解につながると考えています。

◎このテーマに決めたきっかけは?

性による差別のない社会を構築していくために、スポーツの観点からジェンダーについて考えようと思いました。また、将来教員となった時に、正しい知識のもと指導できるようにとも考えています。

◎論文を通して得られたことや今後の課題について

トランスジェンダーの選手を競技から「排除」するという方向では、当事者のスポーツ権を奪うことに加え、スポーツ界における多様性の理解は進みません。トランスジェンダーの選手も参加できる議論を建設的に進めていくことが大切だと強く感じました。今後も、「トランスジェンダー枠を設けた方がよい競技」と「ジェンダー平等を進めていくべき競技」について公平性を大切にしながら検討したいです。
 

◎今後に生かしたいこと
私は保健体育教師を目指しています。LGBTQ+の当事者は約11人に1人いるといわれています。LGBTQ+の生徒が身近にいることを理解し、適切な対応で、各徒が自分らしく過ごせる学級や学校をつくっていきたいです。

◎福大での4年間を振り返って

スポーツ科学部賞を受賞し、2・3年次では学業成績特待生に選ばれました。スポーツをさまざまな角度から学べた4年間だったと感じています。