福岡市では8月2日(日)午後から大気が霞んで見える状態が続いています (図1)。地上観測からPM2.5濃度や火山ガスに含まれる二酸化硫黄 (SO2) の濃度上昇が観測されています (PM2.5濃度は60 µg/m3以上; 図2)。また、福岡大学に設置しているライダーによる観測からは地表付近 (高度2 km以下) でPM等の粒子の増大が観測されました。山梨大学との共同観測データからも鉱物粒子と思われる非球形の粒子も多数観測されています。
気象データの解析から、太平洋沖に高気圧が停滞しており、約1,000㎞離れた西之島の噴煙が4~5日程かけて福岡に到達したことが明らかになりました (図4)。火山ガスに含まれる二酸化硫黄 (SO2) の輸送は人工衛星からも観測されており、地上観測と合致しています (図5)。この衛星観測から西日本で広く噴煙の影響が出ていることが推測されます。なお地上でスス(EBC)濃度やオキシダント(Ox)濃度の上昇が見られないことから、大陸起源のPM2.5輸送の影響は小さいものと考えられます (図2)。
福岡大学では、PM2.5の成分についてさまざまな観測を行っており、今回の煙霧についても今後詳細な解析を行っていく予定です (図3は採取した粒子の一部)。
研究協力:気象研究所、山梨大学、ベルギー宇宙航空学協会 (BIRA-IASB)
問い合わせ先: 福岡大学理学部・福岡から診る大気環境研究所