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202118
卒業生

"ママ気象予報士"として気象防災を伝える-気象予報士・早田 蛍さん

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気象予報士
早田 蛍さん(2012年経済学部経済学科卒業)

『大きな災害はいつか絶対起きる。しかし普段からの備えや知識があれば命は守ることができる』をモットーに、気象防災を伝える早田蛍さん。気象庁が実施している防災教育「大雨防災ワークショップ」やお天気教室、気象講演を九州各地で行っている早田さんに、気象予報士の資格を取得するまでの道のりなどについて伺いました。

子ども向けのお天気教室の様子

講演会で壇上に立つ早田さん

在学中にアルバイト仲間と(左が早田さん)

2020年6月、福岡管区気象台から台長表彰を受けた


  • プロフィール
    名前:早田 蛍(はやた・ほたる)
    経歴:熊本県八代市出身。高校在学中の地学の授業で気象の面白さを知り、気象予報士を志す。高校卒業後、フリーター時代を経て2008年に福岡大学経済学部経済学科に入学。在学中に気象予報士の資格取得を目指し、8回目の挑戦で合格。現在は子どもを持つ”ママ気象予報士”の視点から、講演やお天気教室などを九州各地で行う。2020年6月には、これまでの防災啓発活動が評価され、福岡管区気象台から台長表彰を受けた。

-早田さんが気象予報士を目指したきっかけを教えてください。

私は、令和2年7月豪雨の被災地、熊本県八代市坂本町で育ちました。大雨が降ると球磨川があふれ道路が冠水、土砂災害が毎年のように起こる地域です。子どもながらに「いつか多くの人が亡くなるような大雨が降るのでは?」と感じていました。大雨を事前に予測し、人々の命を守ることができないかと考えたのが、気象予報士になりたいと思ったきっかけです。

-​そんな早田さんが福岡大学に進学した理由は何でしょうか。

私が大学に入学したのは21歳の時です。入学した理由は3つあります。

まず、地元の同級生の多くが福岡大学に通っていたのでよく遊びに行っていて、とても身近に感じていたこと。2つ目は、その同級生を見ていて、福岡大学には多彩な学びがあり、交友関係が広がりそうだと思ったこと。3つ目はズバリ“直感”です。

入学してすぐ、「今年度より気象予報士講座(エクステンション講座)を開講します」と掲示してあり、私の直感は正しかった!と思いましたね。

-福岡大学での4年間の思い出や、印象に残っているエピソードをお聞かせください。

大学に入学して最初にできた友人がいます。私たちは経済学部だったので、私が「実は気象予報士になりたくて勉強しているんだ〜」と言うと、「私も!」というまさかの返事が。それから二人で切磋琢磨しながら一緒に勉強を続けました。気象予報士合格までの道のりは簡単ではなく、私は8回目、彼女は7回目の試験で、同じ2012年3月に合格しました。

現在、私は地域に密着した気象予報士として活動し、彼女は卒業後から気象キャスターのキャリアを積み、東京で頑張っています。何回も挫折しそうになりながら気象予報士になれたのも、今頑張れているのも、彼女の存在に他なりません。

-卒業後、現在のお仕事をされるまでの経緯を教えてください。

気象予報士の資格を取って24歳で卒業した後、内定をもらっていた郵便局で働きました。資格を取ったからといって、すぐに仕事があるわけではないのです。

その後結婚し、2人の子どもに恵まれました。子育てをしながら気象関係の仕事を探しましたが、土地柄や子どもがいることを理由に断られることがほとんどで、中々仕事が見つかりませんでした。そんな中、所属していた日本気象予報士会の防災プロジェクトの気象防災講座の講師をしないか、と誘われたのをきっかけに現在の仕事に発展しました。今年3人目の子を出産し、現在は“母親目線で見る気象防災”を伝えています。

-現在のお仕事の内容や、やりがいを教えてください。

現在の仕事は、気象や防災に関する普及・啓発の講演会やワークショップ、避難訓練の監修、子どもたちへのお天気教室などです。他にも、メディアへの出演や新聞・雑誌への寄稿など、多岐にわたります。講座で実験をするときは、子どもも大人も目を輝かせながら楽しんでくれるので、こちらも楽しい気分になります。

また、今年7月の豪雨では地元が被災しました。発災の2週間前に母校で防災の講演をしたばかりでした。災害後、校長先生から「生徒が妹や弟、お年寄りを率先して避難させていたようです」と伺いました。寝ている間の災害で、家や車も流されたり、かなり厳しい状況でも全員無事だったと聞き、「本当によく避難してくれた」と思いました。改めて防災教育の重要性を感じました。

-今後の抱負について教えてください。

来年、学校に防災教育を取り入れるための大きなチャレンジをします。これまでは単発的な講座が多く、継続的な防災教育を学校で行えていませんでした。しかし、今回の豪雨を受け、子どもたちが防災教育を受けることは最優先事項だと感じました。災害時、知識や備えがあるのとないのでは生存率に大きな差が出るからです。災害の多い日本で生きていくために、子どもたちへ「命を守る防災教育」の普及に全力で取り組んでいきます。

-最後に、福岡大学で学ぶ後輩へのメッセージをお寄せください。

やりたいことの見つけ方は、「ワクワクするかどうか」です。まだやりたいことが見つかっていない人は、自分の「ワクワク」を見つけてみてください。

私は、高校生の時に学年で最下位を取るほど成績が悪く、「お前が気象予報士だなんて無理だ」と言われていました。私自身も無理だと思っていました。ただ、「ワクワクすること」を自分の中で突き詰めたところ、気象予報士が残り、21歳で挑戦することを決めました。「学ぶこと」に遅いも早いもありません。周りの意見ではなく、「自分がどうしたいか」を考え、迷っている人はまず一歩踏み出してみましょう。新たな道がきっと拓けるはずです。