FUKUDAism(フクダイズム)

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2020101
国際交流
卒業生

豪・メルボルンで心臓専門医として活躍中!ー佐田 悠輔さん

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Alfred Hospital(オーストラリア・メルボルン) ハートセンター 医師
佐田 悠輔さん(2004年医学部医学科卒業)
 

医療チームのメンバーと

オーストラリアに来るきっかけとなった

Prof Murray Esler・Prof Markus Schlaich両氏と

外来で診察を行う佐田さん

病棟での学生指導の様子

2004年に医学部医学科を卒業した後、オーストラリアに渡り、心臓専門医として活躍する佐田 悠輔さん。

現在は、メルボルンにあるAlfred Hospitalのハートセンターで、臨床と研究に打ち込む毎日を送っています。海外に渡った理由や現在のお仕事、目標などを伺いました。


ー福岡大学に進学したきっかけを教えてください。

生まれ育った福岡で医学を学びたいと考えていたためです。おかげで素晴らしい仲間に恵まれ、自由な学生生活を送ることができました。福岡大学に入学して本当に良かったと思います。また、進学を支えてくれた両親には、今でも心から感謝しています。

ー福岡大学での4年間の思い出や、印象に残っているエピソードをお聞かせください。

学生時代は部活動に明け暮れました。朝・昼・夜と部活三昧で、卒業試験や国家試験の直前まで部活をしていて、後輩や両親から心配されたほどです。

また、在学中は国際交流も積極的に行いました。福岡大学の国際交流プログラムを利用し、海外の大学で語学研修をしたり、個人でホームステイ先を見つけて、海外の生活や医療の現場を見に行ったりしました。この経験が、海外で医療活動をしたいと思うようになったきっかけの一つですね。

ー卒業後、今のお仕事をされるまでの経緯を教えてください。

卒業後は、大阪で循環器(心臓)の専門医トレーニングをしていました。その際、血圧に関する研究に興味を持ち、当時その領域で世界最先端を走るオーストラリアのBaker研究所で学びたいと思い、留学を決意しました。

留学当初は研究一筋の毎日でしたが、病院の現場に目を向けると、多民族国家のオーストラリアであるにもかかわらず、循環器の専門医として活躍している日本人が全然いないことに気がつきました。調べてみると、日本人がオーストラリアで専門医として活動することは非常にハードルが高いことが分かり、それならば私がと、挑戦する意欲が湧きました。

ー現在のお仕事の内容を教えてください。

オーストラリア・メルボルンの中心に位置するAlfred Hospital ハートセンター(循環器科)の高血圧部門を任される立場にあります。クリニック(外来)や病棟での臨床の傍ら、隣接するBaker研究所で基礎研究と臨床研究を続けています。これに学生指導、ジュニアドクターの教育が加わり、気がつけば週末になっています。

当然ながら全てが英語なので色んなことに時間がかかってしまいますが、ここでも素晴らしい仲間に支えられ、日々新しい発見と挑戦があり、大変恵まれた環境で働くことができていると感じています。

ー異国の地で働くにあたり、大変だったことはありますか?

とにかく、言語と文化の壁に苦労しました。

医師は、外来等でさまざまな患者の診療をします。見て、聞いて、話して、ときにはじっくり時間をかけて、ときには一刻を争いながら診断と治療を進めます。【MDT:Multidisciplinary Team】という言葉のとおり、多職種によるチーム医療が主体の臨床の現場では、コミュニケーション能力が非常に重要であることは言うまでもありません。

そのツールとしての英語は、医学の知識や技術、医師としての身だしなみと同様に、「その医師が信頼に足るかどうか」を判断する重要な要素の一つです。英語に自信がなく、モジモジしていると、患者は不安になってしまいます。また、日本から来たといって遠慮していては、世界中から優秀な医者が集まる大病院の中で存在を示すことはできません。

ーオーストラリアで働いているからこそ気付けたことを教えてください。

私たちは、【言語を通じて理解し合う生き物だ】という当たり前のことを、熾烈な競争環境である英語圏の循環器科の中で働くことで、思い知りました。日本の美徳である「奥ゆかしさ」は、お互いの理解を前提として成り立つものですが、言葉による理解がなければ、能力もやる気もないと受け取られてしまいます。「あの日本人はいつも黙っているけど、奥ゆかしくて素敵ね」とはならないのです。

現在の日本の英語教育では、海外に通用する語学力は養われにくく、抜本的な改革が必要だと感じています。また自己主張を抑えていては、そもそも常識の異なる異国の文化圏では通用しません。

日本の医療水準は極めて高く、日本人の勤勉さ、気遣い、技術のきめ細かさは世界一です。それが、言語の壁や文化の違いのために、海外に発信する力が弱いことに歯がゆい思いがします。

ー今後の目標をお教えください。

当面は臨床研究の拡充を軸に、高血圧部門の発展を目指していきます。米国にも欧州にも負けない、日本とオーストラリアの架け橋となることを夢見て、「自分にしかできないことは何か」を考えながら、臨床と研究に打ち込んでいます。

ー最後に、福岡大学で学ぶ学生へのメッセージをお願いします。

「型破りなこと」に挑戦してほしいと思います。

いわゆる定石を学ぶだけではなく、日本の常識は必ずしも海外では通用しないこと、日本での正解が海外ではそうとは限らないことを知ってほしいと思います。本質的な文化や常識の違いを受け入れる寛容性を養い、オリジナリティを追求し、挑戦を続けてください。日本は世界でも稀な単一民族国家ですが、海の外から見れば広く多様な世界の一員です。誇りを持ち、日本人の素晴らしさをもっともっと世界に伝えてほしいと思います。