九州自然歩道フォーラム 事務局長
福島 優さん(2013年法学部法律学科卒業)
「歩くことが大好き」で、現在は九州自然歩道フォーラムの事務局長として活動されている福島優さん。
九州に憧れ、東京から福岡大学に進学した福島さんに、在学中のお話や現在の活動、今後の抱負などについて伺いました。
ー福岡大学に進学したきっかけを教えてください。
東京出身の私は、高校生のときにテレビで見た九州の風景に魅力を感じ、”九州に住みたい”と強く惹かれました。幾つか大学を調べ現地を見に来たときに、油山が見える広いキャンパスに憧れて、進学を決めました。
ー福岡大学での4年間の思い出や、印象に残っているエピソードをお聞かせください。
一つは刑法のゼミです。サスペンスが好きで、当時警察官に憧れていた私は、大学ではぜひ刑法を学びたいと考えていました。1年次生の「入門ゼミ」で刑法が専門の石川友佳子先生に出会い、2年次生からも石川ゼミに入り、4年次生の卒業論文まで刑法についてしっかりと学ばせてもらいました。
もう一つは、春休みや夏休みなどの長期休暇を利用し、九州6県を歩いたことです。福岡市を起点に、佐賀・熊本・大分・長崎・宮崎・鹿児島の県庁所在地を目指す歩き旅です。長いものでは、福岡市~鹿児島市~佐多岬(九州本土最南端)までの550㌔を1カ月で歩きました。これほどの長旅に出られるのは、大学生だったからだと思います。
ー今のお仕事を志したきっかけは何ですか?
3年次生のときにアルバイトをしていたIT系の企業に就職する予定でしたが、4年次生の3月に内定先企業の業績が悪化し、就職が困難になりました。
「はて、どうしようかな?」と1週間ほど悩みましたが、この先何があるか分かりませんし、「とにかく好きなことを仕事にしよう!」と決断しました。私は「歩くこと」が大好きだったので、九州7県をグルッとつなぐ「九州自然歩道」の利活用を提案する九州自然歩道フォーラム(当時の事務局:NPO法人グリーンシティ福岡)へ就職し、6年務めました。その後、NPO法人グリーンシティ福岡を退職するとともに九州自然歩道フォーラム事務局を受け継ぎ、現在は事務局長として事業に取り組んでいます。
また、もともと高千穂(宮崎県)が好きで観光や仕事で訪れていましたが、高千穂の友人から「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」に関する地域おこし協力隊を募集していると誘われ、2020年4月より高千穂町地域おこし協力隊の一員としても働いています。現在は事務局長と二足のわらじで活動しています。
ー現在のお仕事内容ややりがいについてお聞かせください。
九州自然歩道フォーラムでは、トレッキングイベントの企画運営、講演会の開催・講師の派遣、記事の執筆等を行っています。第1水曜日発行の西日本新聞朝刊では「あるこ!~九州自然歩道の旅~」も連載しています。
高千穂町の地域おこし協力隊では、新しいアウトドアプログラムの開発を行っており、トレイルヘッドパスポートプロジェクト(※)やebike(電動マウンテンバイク)のツアープログラムにも取り組んでいます。
どちらの仕事も歩くことに関わるもので、自然や地域を楽しむための取り組みです。とてもやりがいを感じています。
(※)「トレイルヘッドパスポート」とは
トレイルヘッド=登山口、パスポート=通過券を合わせた造語で、入山する”証(あかし)”を意味しています。トレパスを持って山に登ろう!という文化をつくろうと私たちで考えたものです。さらに、提携している宿泊施設に泊まることで、同施設オリジナルの焼き印も押すことができ、山と町をつなげる役割も持ち合わせています。詳細はこちらをご覧ください。
ー今後の抱負をお教えください。
九州自然歩道は、40年前の1980年に全線開通した日本のナショナルロングトレイルですが、老朽化や自然災害などで通れない部分も増えてきています。しかし、日本を代表するロングトレイルとして、世界中から注目される歩道になり得るので、仲間と共に一歩ずつでも世界に憧れる道づくりをしていきたいと考えています。
一方、高千穂町はアウトドアアクティビティが少ない現状があります。高千穂町に提出したミッションには「高千穂に来れば、日本人も外国人も、誰もが高千穂の自然や暮らしを楽しめるアウトドアアクティビティが体験できる地域を目指します」と明記しています。専門家として高千穂町の町おこしに尽力すべく、熱い想いを持って取り組んでいきます。
ー最後に、福岡大学で学ぶ学生へのメッセージをお願いします。
大学での経験は、社会人になっても必ず生きてきます。例えば、在学中に学んだ刑法は、現在の職業ではその知識を生かす場面はほぼありませんが、裁判所の”被害者・加害者両者の意見を聞くこと”や”ルールを明確に書いておくことで、抑止にも自由な行動にも繋がる(罪刑法定主義)”など、刑法の根底にある考え方は、普段の生活の中に強く根付いており、生かされています。
興味を持っているものを深く追求し、普段の生活にどう影響を与えているか考えるのも面白いと思いますよ。