株式会社リズムデザイン 代表
井手 健一郎さん(2000年工学部建築学科卒業)
2004年に設計事務所「リズムデザイン」を立ち上げ、数々の建築やインテリア設計を手掛ける一級建築士の井手健一郎さん。過去には福岡市水上公園の建築設計を担い、福岡市都市景観賞大賞を受賞するなど、九州を中心にご活躍されています。
福岡大学に入学したきっかけや今後の抱負などについて、お話を伺いました。
ー福岡大学に進学したきっかけを教えてください。
当初は、中学校卒業のタイミングで、大工である父に弟子入りをしたいと思っていたため、大学へ進学するつもりはありませんでした。しかし、「できるうちに勉学に励みなさい」という両親の勧めもあり、高校、大学へ進学することを決めました。大学進学の際、父の仕事を身近に感じつつ、大学での勉学にも励むことができる環境をと思い、実家からも近い福岡大学を選びました。
ー福岡大学での4年間の思い出や、印象に残っているエピソードをお聞かせください。
構造力学や材料力学、建築構法など、専門的な技術を解説する授業が多く、在学中は「もっとデザインや意匠的なことを勉強したい!」と悶々とした日々を過ごしました。しかし、建築設計の実務の世界で仕事をするようになった今、大学での学びを通して「人びとの命と財産を守るため」に必要な基本の知識が備わっていたことを実感しています。少しタイムラグがありますが、とても貴重な時間だったと今では感謝しています。
ーいまのお仕事を志したきっかけは何ですか?
3年次生の後期に「日本建築史」という授業があり、その中でお茶室などの「数奇屋建築」にとても興味を持ちました。先生に「どの茶室が一番参考になるでしょうか?」と尋ねたところ、「京都の大徳寺にある塔頭・孤篷庵を見てみてはどうだ?」とご助言いただき、実際に現地に足を運びました。そこで「色や形、その先にあるもの」を計画・設計することがとても楽しく思え、建築家を志すようになりました。
ー現在のお仕事内容ややりがいについてお聞かせください。
建築やインテリアなど、色形あるものを設計するのが現在の仕事の骨子です。
「課題を発見し解決すること」や、「魅力を発見し拡大すること」が、設計やデザインに求められる役割でもあり、誰も思いつかなかった解決策や、誰も価値を見いださなかった状況に魅力を発見できた時に、とてもやりがいを感じます。自分がやりたいことを実現する以上に、「こんなものがつくりたい!」という発注者の方々の夢に伴走することがとても楽しいです。
ー今後の目標をお教えください。
最近では海外でのプロジェクトも増えてきました。生まれ育ったまちを離れてデザインを考える時、改めて当たり前だと思っていた地元の環境の素晴らしさに気付くことがあります。そのような気付きを持ち帰り、福岡のまちの魅力づくりに少しでも貢献できたらと思います。
ー最後に、福岡大学で学ぶ学生へのメッセージをお願いします。
大学での時間は、社会人になる前の最後の自由な時間でもあります。何に時間を掛け、どのように過ごすかも自分の選択次第です。悔いのないよう、精一杯楽しんでください!