講演活動家
福々亭金太郎 さん(2001年法学部法律学科卒業)

現在も各地で落語を通じた講演活動を行う

テレビやラジオに出演することも
防災の知識を「落語」で、親しみやすく。
現在、筑後川の流域連携や水防災・水環境についての意識啓発活動に携わる福々亭金太郎さん。
大切なこととは認識しながら、災害に備える行動を起こす人はまだまだ少ないようです。落語研究部OBの福々亭金太郎さんは、そんな人々の防災意識を少しでも変えたいと、「落語」を通じて講演活動を行っています。
福岡大学に入学したきっかけから現在の活動に至るまで、お話を伺いました。
ー福岡大学に進学したきっかけを教えてください。
卒業後も大好きな福岡で暮らしたいという思いがあり、地元企業への就職に強い点に魅力を感じ入学しました。落語研究部(以下、落研)には学生生活を豊かにしようと入部しましたが、まさか卒業後の人生にもつながるとは、当時は夢にも思いませんでした。本当に良いご縁に恵まれたと感じています。
ー福岡大学での4年間の思い出や、印象に残っているエピソードをお聞かせください。
落研での活動が特に思い出深いです。芸の鍛錬と併せて、天神のど真ん中で歌を歌ったり、学内の人通りが多い場所を選んで稽古をしたりと、徹底的に度胸をつける活動を繰り返しました。おかげで、どんな状況でも講演できる強靭なメンタルを養うことができました。
ー福岡大学を卒業後、今のお仕事をされるまでの経緯を教えてください。
大学卒業後、地元のJAに5年間勤務しました。その中で、命の源である食、食を育む自然環境への関心が高まり、自然循環型の農業を推進する仕事に転職しました。事業としては芽が出ませんでしたが、多くのご縁を得ることができました。その後、宮崎県で開催された、河川の上下流をつなぐイベントの事務局を務めた経験がきっかけとなり、地元を流れる筑後川の流域連携や水防災・水環境について意識啓発をする現在の仕事に就くことができました。
ー講演活動家として、防災の知識を落語で伝える活動をされていると聞きました。はじめたきっかけや活動内容を教えてください。
はじめは、西日本新聞での連載企画「食卓の向こう側」を担当する記者の方に勧められ、食や農業、健康をテーマにした「食育落語」を創作し、九州圏を中心に講演活動を行っていました。その活動を知った国土交通省の方から、防災意識の啓発を行う落語の創作を提案いただき、「ぼうさい落語」を用いた講演活動を始めました。
ー講演活動家のやりがいや、受講された方の反応はいかがですか。
私の活動は「種まき」に近いです。日々の暮らしには「重要だけど、面倒がって後回しになってしまうこと」が多数あります。そのようなテーマを落語の手法で笑いに乗せてお伝えしています。お客様から「考えるきっかけができた」「身近に感じることができた」という感想を頂いた時や、他の方に私の取り組みをご紹介いただいた時に、大きなやりがいを感じます。何より、たくさん笑っていただけると嬉しいですね。
ー今後の目標を教えてください。
今までは講演活動が中心でしたが、インターネット上での情報発信や動画配信等にも取り組んでいきたいと思っています。
座右の銘は「一灯照隅、万灯遍照」です。背伸びをし過ぎず、まずは、ご縁を頂いた方々の日々の暮らしがより豊かに輝くような活動を続けていきたいです。
ー最後に、福岡大学で学ぶ学生へ、メッセージをお願いします。
1つ目は「芸は身を助く」ということです。これからは多様な主体が「得意」を生かし合って、社会課題を解決していく時代だと思います。自分の得意をどんどん伸ばし、それを周囲に開示して積極的に社会貢献して頂けるとうれしいです。
2つ目は「ご縁の力」です。紆余曲折ありましたが、そのたびにご縁の力で新しい道が広がりました。有信会の先輩方にも幾度となく助けていただきました。ぜひ皆さまも色んなご縁を大切にしていただきたいと思います。皆さまの日々の暮らしがより豊かになりますことを心から祈念しています。