福岡大学学園通信 No64
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医療情報手術件数は全国トップクラス整形外科全分野で高い実績整形外科の全分野をカバー全国に広がる研修連携病院最先端の再生医療で実績世界各国の医師が見学に3つの科訓を掲げ良質な整形外科医を育成人の生命に寄り添い、病気の治療と予防に立ち向かう福大医療と医療人のレポートヒポクラテスの系譜Medical Report27FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE January 2019 福岡大学病院整形外科では、骨や関節、筋肉、神経などの運動器に障がいを来した患者さんを治療し、社会復帰を目指して診療を行っています。スポーツ障がいを含めた整形外科の全分野をカバーしており、手術件数は年々増加。2018年は1,578件に上り、全国の大学病院でもトップクラスの実績です。手術には関節鏡や内視鏡のほか、コンピューターナビゲーションシステムを用いた最先端の技術も取り入れています。 1972年の整形外科開設以来、初代教授の高岸直人先生は肩関節、2代・緒方公介先生は膝関節、前任の内藤正俊先生は股関節を専門とし、世界的に大きな功績を残してきました。現在、17人の常勤スタッフが在籍。研修連携病院は全国28施設に上り、例年10人以上のスタッフを新たに受け入れるなど、科内は活気に満ちています。 大学病院として臨床・教育・研究の全てをバランス良く行うことが求められる中、山本卓明教授をリーダーに「患者さん中心の医療」「良質な臨床医・整形外科専門医の育成」「患者さんに還元できる研究」をモットーとして掲げています。全ての手術の前後にはスタッフ全員でカンファレンスを行い、複数の目で徹底的にチェックすることによって医療の質を担保。スタッフが幅広く学べ、経験できる体制を整え、研修連携先も今後さらに増やしていく方針です。 国内屈指の臨床実績と経験豊かなスタッフを抱える整形外科が、近年特に力を入れて取り組んでいることが2つあります。 一つは「自家培養軟骨移植術」です。関節軟骨は一度傷つくと自然治癒が難しく、手術による再生も困難とされています。そこで別の部位から軟骨を採取・培養して移植する手術を積極的に取り入れています。再生医療の分野で最先端である本手術を行っている病院は全国でも少なく、国内トップクラスの手術症例数を誇ります。 もう一つは、「低侵襲の骨盤骨切り術」です。骨盤のくぼみ(寛骨臼)に大腿骨の頭がはまり込んでいる股関節において、はまり込みが浅い状態にあると痛みの原因になります。その治療法として1995年に「骨盤骨切り術」を開発。従来よりも小さな皮切で手術を行え、筋肉の剥離を最小限にとどめることができ、極めて良好な手術成績を挙げています。2004年度には米国整形外科学会で表彰され、世界中から多くの医師が見学に訪れています。 2016年国民生活基礎調査(厚生労働省)では、「自覚症状のある病気やケガ」のトップ3は「腰痛」「肩こり」「手足の関節痛」で、全て整形外科に関わる症状です。超高齢社会を迎え、寝たきりの原因となる骨折や関節疾患の予防・治療も重要で、地域への公開講座や啓発活動などにも科としかんこつきゅうだいたいはく り山本 卓明 先生医学部 整形外科学 教授福岡大学病院整形外科 診療部長

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