福岡大学学園通信 No63
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04FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE October 2018特攻隊員の遺書に記された「七隈の学園」への想い第二次世界大戦時には九州経済専門学校(福岡大学の前身校)からも多くの生徒が戦地に赴きました。8回生の安部静彦さんもその一人。1945年4月12日に鹿児島県の知覧飛行場から特攻機で飛び立ち、沖縄に進攻する米艦隊に突入して戦死しました。その直前、友人に充てた遺書には、「恋…何という魅力ある言葉だ。私はこの言葉を口にする時、何かしら心のときめきを感ずる。しかし悲しいかな、私は恋を知らない。(中略)こんな遺書を残して、私は新しい世界に入って行こうとする。再び七隈の学園に戻って、書物をひもとくことは永久にないだろう…」と記した後、学園生活の思い出が連綿と綴られていたそうです。青春が中断されたことへの無念の中に、にじみ出る母校への愛着…。現在の自由で豊かな学生生活は、こうした先人たちの尊い想いの上に成り立っています。つづ九州経済専門学校の校庭(1944年頃)し、情熱を込めることで学生は教員を信頼してくれますし、逆もまたそうです。心が動いたという意味で、印象に残っている二人のゼミ生がいます。一人は、ゼミの幹事をしていたのですが、合宿の日程が仙台での入社試験と重なってしまい、彼は責任を感じていました。合宿は4日間あるので「最終日だけでも顔を出せたらいいね」と話していたのですが、彼は選考が終わった日の夜に仙台から福岡に戻り、その足で合宿先の宮崎まで駆け付けてくれました。それ以来、私は彼をとても信頼するようになりました。ラグビー部だったゼミ生の一人もゼミ合宿とラグビー部の合宿が重なり、どちらに参加すべきか相談されました。私は自分で決めるように言いましたが、内心ではラグビー部を優先すると思っていました。彼は既にレギュラーを取っており、ポジション争いが激しいラグビー部では、合宿への不参加はレギュラー落ちを意味するからです。ところが彼はゼミ合宿を選びました。「ラグビーではレギュラーを失っても取り返す自信がある。でもメンバーと協力しながら課題に取り組むゼミは、自分の力だけで遅れを取り戻すのは難しいと思った」というのが理由でした。第60代応援団副団長。福岡大学初の女性団員として活躍し、今年9月に引退。商学部貿易学科4年次生八納 萌瑛さん1967年商学部商学科卒業。福岡大同青果株式会社の社長、会長を歴任。2017年から現職。一般社団法人福岡大学同窓会有信会理事長大野 憲俊さん商学部教授。専門分野は経営戦略論。ゼミ生とのつながりは25年以上にわたる。就職・進路支援センター長合力 知工先生2008年人文学部英語学科卒業。熊本朝日放送、福岡放送を経て2018年4月からフリー。KBC九州朝日放送「シリタカ!」メインキャスター髙﨑 恵理さんフォークソング愛好会所属。研究室では無線などのワイヤレスセンサネットワークを研究。工学部電子情報工学科4年次生小田 勝己さん(左から)

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