福岡大学学園通信 No63
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16FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE October 2018現場に出向くことで見えてくるものがある九州屈指の観光駅である同駅の駅長は、由布院温泉観光協会の理事も兼務することになっています。 「由布院駅だけではなく、沿線の皆さんと一体となって地域を盛り上げていこう」と意気込んでいた矢先の同年7月、地域一体は九州北部豪雨に見舞われます。鉄道橋である大分県日田市の花月川橋梁が流され、福岡県久留米市と大分県を結ぶ久大本線のシンボルであった「ゆふいんの森」号は小倉経由での迂回運行を余儀なくされました。 「被災直後の由布院駅前はがらんとして寂しいものでした。久大本線を1日3往復していたグリーンの車体を失った喪失感に打ちひしがれ、かけがえのない存在であることを改めて思い知らされました」 2018年7月14日、1年振りに久大本線が全線運転再開。駅では「ゆふいんの森」号の出迎え・見送りのイベントが盛大に行われました。 「『ゆふいんの森』を沿線の方々と一緒に駅に迎えた時は、本当に感動しました。これまで以上に駅も地域も一丸となって地域を盛り上げ、魅力を発信していかなければと、思いを新たにしました」 森さんは、普段の仕事の中で、地元の方とのコミュニケーションを何より大事にしています。取材中にも、観光辻馬車の御者と笑顔で言葉を交わす姿が印象的でした。 「JR九州の指針に〝地域を元気に〞がありますが、由布院駅はその旗頭となる駅だと考えています。地域の皆さんと一緒に知恵を絞り、訪れた方に本当に来て良かったと言ってもらえる観光地にしていきたいです」 由布院駅駅長としての業務に加え、管轄する久大本線豊後中川駅から向之原駅までの17駅がある各自治体を回りながら、地域活性化のために奔走する日々。「やはり机上では分からないことも多いですから。現場に出向くことで初めて見えてくるものがあります」。 由布院駅駅長への着任後も、多くの福大OB・OGたちに支えられているという森さん。後輩たちには、「お互いを高め合える人材にたくさん出会えるのが福大の素晴らしいところ。私自身の反省でもありますが、気付きを大切に一日一日過ごしてほしいですね。小さな変化に気付けばそこから関心も広がり、物事を深く感じ取ることができます」とメッセージを送ります。 山好きの祖父から阿蘇五岳のように雄大な人間になってほしいと名付けられた「ごがく」の名。「今はもっぱら由布岳の岳、と言っています」。駅正面に聳える由布岳を親しみを込めた表情で眺めながら、今日も笑顔で駅に立ちます。そび冬の制服はホテルマンをイメージしたデザインオーストラリアの世界遺産・ウルル(エアーズロック)を背景に旅行事業本部時代、 好成績により 唐池恒二本部長(現・会長)から表彰を受ける疾走の軌跡~写真で振り返る、あの日・あの時~系列旅館「竹と椿のお宿 花べっぷ」では総支配人を務めた学生時代の友人たちと(右から3人目が森さん)現在もバスケットボールチームに所属し活動(右端が森さん)

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