福岡大学学園通信 No63
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15FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE October 2018就職・進路お客さまと向き合い、相手の立場に立って考える九州北部豪雨で地域活性化の思い新たに 入社1年目を小倉駅の駅員として過ごした森さんは、2年目を前にした上司との面談で不動産事業を希望していることを改めて伝えました。ところが言い渡された配属先は、企業などに団体旅行を提案するジョイロード(現・営業部旅行課)。最初は戸惑ったものの、企業担当者と信頼関係をつくりながらニーズを拾い上げる仕事は楽しく、視野を大きく広げることができたそうです。 同時に失敗も多く経験し、お客さまにご迷惑をお掛けしてしまうこともありました。特に印象に残っているのは、海外旅行の飛行機予約の伝達ミス。目的地までの直行便の席が取れなかったため経由便に変更したのですが、その情報がお客さまに十分伝わっていなかったのです。「経由便への変更というマイナスの情報に触れるのが怖く、コミュニケーションを怠ったことが原因でした。この経験をしてからは、どんな時も逃げず、誠実にお客さまと向き合うことを心掛けました。このお客さまとは今でも良い関係が築けています」。 お客さまと向き合うことの大切さを痛感した森さんは、担当した旅行はできる限り現地に同行し、同行できない場合でも出発時・到着時には立ち合うようにしました。こうした姿勢が次の受注へとつながり、年間営業成績は全社でトップクラスとなりました。 その後は、旅行事業本部で個人旅行のプラン作成を担当。宿との交渉を通して、その地域の魅力を引き出し、磨いていく視点を養いました。インバウンド担当の際には東日本大震災の影響で海外需要が激減する中、海外の観光客が何を求めているかを現地に飛んでヒアリング。その経験は、今の仕事にも役立っています。総支配人を務めた旅館「竹と椿のお宿 花べっぷ」では、お客さまの情報をさりげなく聞き出しサプライズにつなげるなど、常にお客さまの立場に立ったサービスを心掛け、業績回復を実現しました。 「お客さまが何を考え、何を求め、そのために何をすべきかというマーケティングの基礎は、大学時代に井手ゼミで学んだことです」と振り返ります。 与えられた仕事を楽しみながら全うし、着実にキャリアを重ねた森さん。2017年には、由布院駅の駅長に就任します。由布院駅を「地域を元気に」の旗頭に32145■1 駅前に広がる由布岳を背景に ■2 取材当日はクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」も停車 ■3 久大本線を走る特急「ゆふいんの森」号■4 駅前に立ち観光案内も行う ■5 制服の背中には「STATION MASTER」の文字

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