福岡大学学園通信 No62
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33FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE June 2018教育・研究・医療の一層の充実に向けて、限られた資金を「選択と集中」により有効に投じ、強固な財政基盤を目指す学校法人福岡大学の平成30年度予算は、3月29日に開催された理事会および評議員会の承認によって、成立しました。この予算には本学の目指す道が明確に示されています。新入生を対象に、入学前に給付を確約する奨学制度として、「七隈の杜 給付奨学金」「七隈の杜 第3子以降特別給付奨学金」を継続します。また、海外研修や海外の大学との学生交流等、学部・学科でそれぞれの専門性を生かした専門課程のグローバル化を進めるとともに、グローバル人材を育成するプログラム「グローバル・アクティブ・プログラム(G.A.P.)」の充実および拡大を図ります。施設・設備関係では、3カ年継続事業となる新公認室内プール(仮称)新築工事、5号館別館他2棟耐震改修工事および文理融合型の創造活動を支援するものづくりセンターの設備整備を行い、教育環境の整備を図ります。9つの基盤研究機関研究所による研究を進め、研究基盤の充実を図ります。また、11の産学官連携研究機関研究所による研究を進め、研究成果の実用化等の促進を図ります。さらに、福奏プロジェクト(福岡大学研究ブランディング事業)として、これまでの研究成果をさらに発展させ、地域の方々の出生前から老年期に至るライフステージの健康課題の解決に取り組みます。西新病院の開設によって、福岡大学における医療施設は4つになりました。福岡大学病院は、福岡県が策定する地域医療構想における高度急性期医療機関や災害拠点病院としての機能を整備します。筑紫病院は、地域の医療機関と一体的な医療の提供に努め、医療機能の分化と連携を推進します。西新病院は、福岡大学病院の後方支援病院としての役割を担い、福岡大学病院との連携強化によって安定した経営基盤の構築を図ります。博多駅クリニックは、女性医師による女性医療(美容、形成、産婦人科、乳腺等)の強化を図ります。大規模災害発生に備え、福岡大学総合体育館を中心とした避難計画や、より実践的な災害時マニュアルを作成し、行政・地域と連携して防災訓練を実施します。また、他大学との教育・研究資源の共有、相互の有効活用などの連携を行うための体制整備を進め、地域の高等教育全体の活性化に関する基本方針を策定します。本学が掲げる「アクティブ福岡大学」の下、積極的に地域や産業界との連携を深め、地域貢献を推進するとともに大学のブランド力向上に努めてまいります。経営基盤の安定化に向け収入源の多様化を図るとともに、より効果的な経費削減を実現するため、前年度に大学部門で先行して実施した外部委託による経費削減サービスの適用範囲を拡大します。1.教育体制の整備・充実3.医療体制の整備・充実4.社会貢献および地域連携の整備・充実5.経営基盤の強化本年度の予算については、次の5項目が具体的な施策として盛り込まれています。▶ 重点施策および内容2.研究体制の整備・充実18歳人口が再び減少し始める「2018年問題」、私立大学等経常費補助金が不交付になる入学定員超過率の厳格化、大学設置基準による平均入学定員超過率に係る要件の厳格化、さらには、2019年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げ等、本法人をめぐる経営環境は、これから厳しさを増す一方です。しかし、このような経営環境でも、社会が本法人に期待する役割を果たしていかなければいけません。平成30年度予算は、教育・研究・医療・社会貢献および地域連携の整備・充実ならびに経営基盤の強化という重点施策を柱として編成しています。教育関係では、学内情報システムの更新を予定しています。また、「入学前予約型給付奨学金『七隈の杜』」やものづくりセンターの設備整備費等を盛り込んでいます。研究関係では、基盤研究機関研究所、産学官連携研究機関研究所および福奏プロジェクト(福岡大学研究ブランディング事業)のさらなる充実を図ります。メディカル部門では、西新病院を開設し、「地域に信頼される医療の提供」を基本理念として、福岡大学病院との強い連携の下、高度・高品質な医療の提供、医療安全の確保、健康寿命延伸のための予防医療の推進、加えて医療従事者の育成を行います。施設関係では、3カ年継続事業となる新公認室内プール(仮称)新築工事および5号館別館他2棟耐震改修工事を予定しています。さらに、学長によるガバナンスを強化するための学長裁量経費や事業所内保育所「ななくまのもり保育園」運営費を計上しています。本法人は、さまざまな施策において「学生・生徒のため」「患者のため」「地域のため」という視点を重要視し、さらなる充実に取り組んでいきます。平成30年度 学校法人福岡大学収支予算本法人の平成30年度事業活動収支予算は、毎年度の収支状況を判断するための指標である基本金組入前当年度収支差額の点で、前年度からさらに数値が悪くなっています。本業の教育活動の収支を見る教育活動収支差額の点で前年度に引き続き支出超過であることを考慮すると、安定性および弾力性に欠けた予算であると言わざるを得ません。また、良好な教育・研究・医療環境を維持するための施設・設備等の取得費である基本金と比較すると、基本金組入れ余力以上に投資が行われていることになります。この状態が長期間続けば、将来的な設備投資余力が小さくなり、教育・研究・医療の永続性が担保できなくなります。今後、「福岡大学ビジョン2014-2023」に基づく事業計画を積極的に支援し、限られた予算財源を重点事業に傾斜配分するとともに、一方では、経常的な経費について、コストに見合う教育・研究・医療サービスを提供しているか、点検・見直しを行っていくことが必要になってきます。本法人関係者のご理解とご協力をよろしくお願いします。学校法人福岡大学常務理事(財政担当副学長)中川 誠士

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