福岡大学学園通信 No62
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医療情報3つ目の大学病院「西新病院」が開院福岡都市圏西部エリアの急性期医療を担う福岡大学病院との連携で地域包括医療をさらに推進地域のニーズに応え小児科を新設「競争」から「協調」へ地域医療機関との連携強化 福岡大学は、35年にわたり消化器内科・循環器内科を中心に地域医療を担ってきた「福岡市医師会成人病センター」(福岡市早良区)を譲受し、4月1日に「福岡大学西新病院」として開院しました。従来の医療機能を引き継ぐとともに、小児の救急医療にも対応できる体制を整え、福岡都市圏西部エリアにおける医療環境の充実にさらに貢献していきます。 病床機能には、救命救急や集中治療を施す「高度急性期」、急性疾患や重症患者の治療に当たる「急性期」、急性期の経過後、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを行う「回復期」、長期の療養に対応する「慢性期」があります。西新病院は「急性期」以降の患者さんを受け入れ、高度先進医療に取り組む福岡大学病院との連携を図ります。 こうした病床機能の分担は、国が推進し、団塊の世代が75歳を迎える2025年に向けて、病状に見合った医療サービスの提供を目指す「地域医療構想」にも合致するものです。 新たに誕生した本病院は、これまで力を入れてきた循環器内科・消化器内科などの診療機能を維持しつつ、高齢者に増加している肺炎などの疾患に対応するため、呼吸器内科の機能を強化しました。従来は非常勤医師による週2回の外来診療のみでしたが、福岡大学病院から専門医2人が常勤するようにし、気管支鏡検査の装置も導入しました。5月には心臓の血管造影検査の設備を更新するなど、診療体制の整備を進めています。 また、小児科も新設しました。「福岡市立こども病院」が、2014年11月に福岡市中央区唐人町から同市東区のアイランドシティへ移転したことで課題となっていた、福岡都市圏西部エリアの小児救急医療の充実が期待されています。感染症や呼吸器ウイルス性肺炎などの小児患者が入院できるよう、120床のうち15床を小児用病床として改修。紹介患者を速やかに受け入れる体制を整えるなど地域病院との連携・協調を図っています。 内科、小児科を中心とした急性期医療の充実を図る一方、慢性期や地域包括医療、予防医学などの機能も整備していく予定です。特に予防医学に関しては、設備を更新した内視鏡などを用いた健康診断にも力を入れていきます。また女性専門医療を手掛け、婦人科健診に力を入れる「福岡大学博多駅クリニック」と、スタッフの交流や情報交換を行い、連携を図ります。 大学病院としての使命を果たすため、今秋から医学部生の実習を受け入れる人の生命に寄り添い、病気の治療と予防に立ち向かう福大医療と医療人のレポートヒポクラテスの系譜Medical Report29FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE June 2018

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