福岡大学学園通信 No62
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26FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE June 2018学部診療所などの機能強化でアスレチックリハビリテーションを強化重森 裕准教授YUTAKA SHIGEMORIPROFILE福岡大学医学部医学科卒業。日本大学大学院医学研究科博士課程外科系専攻修了。福岡大学病院救命救急センター講師、国立病院機構福岡東医療センター救急部副部長(兼任 脳神経外科医長)などを経て、2017年4月から現職。スポーツ科学部スポーツ科学の果たす役割や、各スポーツにおける問題点とその解決法などを調査・研究しています。例えば「学生たちが関心を持つスポーツにおけるケガの発生状況・負傷箇所・原因などの分析と予防策の研究」や、「脳神経の視点から子供や高齢者、障がいのある方などに適した新たな競技の考案」などが挙げられます。高校生の時には柔道で県の強化選手にもなりました。最近はスポーツジムや散歩などで体を動かしています。本は、学生時代まで推理小説や自己啓発系のものをよく読んでいましたが、社会人になってからは政治関連の本なども読むようになりました。車も好きで愛車の「993」や「TOYOTA86」で、ドライブにもよく出掛けます。Q.1研究室で学生とはどのような研究をしていますか。A.医学的な観点からスポーツの抱える課題を調査・研究していますQ.2先生の趣味は何ですか?A.スポーツ、読書、ドライブです研究への思いとオフの顔を知る2つの質問研究スイッチ福岡大学病院救命救急センターなどで、脳神経外科の専門医として救急医療に携わってきた重森先生は、学生時代に水泳や柔道の選手として活躍した経歴を持っています。その影響でスポーツ外傷にも関心を持ち、本業の救急医療と並行してその調査研究を続けてきました。特に、2010年から「柔道による重症頭部外傷」について国内外での学会発表や論文を発表するなど、スポーツにおける頭部外傷についての研究に力を入れてきました。そうした業績から、現在では、「日本臨床スポーツ医学会脳神経外科部会」等の委員として、さまざまなガイドライン作成に携わっています。こうした経験を踏まえ、「これまでの研究と脳神経外科医としての経験を生かして、スポーツ医学という観点から福岡大学に貢献できないか」と考え、2017年4月にスポーツ科学部の教員に転身。医学的見地を絡めて「身体コンディショニング論」や「生涯スポーツ論」などの授業を行う一方、ゼミでは高齢者や障がいのある方たちも楽しめるスポーツ競技の考案や、各スポーツにおけるケガの実態調査と原因分析などに取り組んでいます。こうした教育や研究のほかにも、第二記念会堂に設置されているスポーツ科学部診療所の所長も兼務し、傷病者の診察や応急処置的な対応を行う診療所の機能強化や福岡大学病院との連携にも取り組んでいます。2018年4月からは総合体育館のトレーナーズルームにおいて、体育会系クラブに所属する学生を主な対象として「アスレチックリハビリテーション(AR)」を無償で開始しました。ARとは、ケガの治療後に競技者として早期復帰できるように、医学的知識とスポーツ動作の専門知識に基づいたリハビリメニューを提供するものです。重森先生とスポーツ科学部の2人の医師のほか、鍼灸師やNATA(アメリカ)のアスレチックトレーナー資格を持つ先生方の協力の下で行われています。5月には、延べ160人を超える選手が訪れました。「医学部とスポーツ科学部がある福岡大学は、スポーツに医学知識を応用できる土壌があり、ARに関して最先端を行く可能性があると考えています」と重森先生。「医学的な観点からも選手たちをサポートする『スポーツクリニック』としての機能を、これから徐々に整備、強化していけたら」と意気込みます。柔道に打ち込んだ 学生時代。県の強化選手に選ばれたり、大学時代には3位で入賞もゼミでは学生の経験や関心を生かしながら、医学的な観点からスポーツを調査・研究している

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