福岡大学学園通信 No61
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37FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE April 2018ななくま通信書道家・武田双雲氏が講演今の感情が、集まる情報を決める大切なことは「今の状態を整えること」◎「頑固」は「ぶれない」とも言えるように、言葉にはポジティブ、ネガティブの両面がある。否定的な意味に捉えがちな「散らかっている」「仕事が終わらない」を、それぞれ「ワイルド・ディスプレイ」「ガウディ(※)」と言い換えると、肯定的に表現できる。 ◎物事を一つの物差しで見るのは、もったいない。自分は書道を「うまい・へた」という基準だけでは見ていないので、どんな書も面白いと感じる。そのため作品づくりに産みの苦しみはなく、書道は〝エンターテインメント〟となっている。 ※スペインの建築家アントニオ・ガウディ(1852-1926)がバルセロナに建築した教会「サグラダ・ファミリア」は、未完成ながら世界遺産に登録されている質疑応答コーナー武田氏の語る〝言葉の力〟■1 ユーモアを交えながらテンポよく語る武田氏の話に、会場は終始、和やかな雰囲気に包まれました。最後は武田氏も一緒に記念撮影 ■2 会場からの質問にも、自身の体験を基に分かりやすく回答 ■3 講演後、学生を代表して書道部の住田陸さん(法学部法律学科1年次生=当時)が感謝の花束を贈呈1975年熊本県生まれ。3歳から書家の母・武田双葉に師事。東京理科大学理工学部卒業後、NTT勤務を経て書道家として独立、NHK大河ドラマ「天地人」など多くの題字・ロゴを手掛ける。書道教室「ふたばの森」主宰。メディアやイベント出演も多数。プロフィル武田 双雲 氏132パフォーマーを目指して活動していますが、落ち込むことも多いです。モチベーションを上げるには、どうすればよいですか。Q.失敗・成功の定義付けをやめると気持ちが楽になります。「〇〇だからこそできることがある」と考えることで、アイデアも広がります。A.もうすぐ母親になります。お母さまの言葉で、印象に残っている言葉はありますか。Q.僕のやること全てに感動する母でした。子どもの全てを〝味わう〟ことで感動や感謝が生まれます。母親になった時には、そのことを大切にしてください。A.左利きの筆ペンの開発を目指しています。ぜひアドバイスをお願いします。Q.ビジネスは全て「困り事の解決」です。相手が何を求めているのか、ニーズを知ることを心掛けてみてください。A.誰とでもすぐに仲良くなるという武田氏ですが、その理由は「気持ちをチューニングしているから」。それは人だけでなくモノに対しても同様で、例えば書に向かう時も、「筆と波長を合わせることで気持ちよく書ける」そうです。同じように、(感情をラジオに例えると)怒りっぽい人は「怒りラジオ」にチャンネルを合わせているため、自分をイライラさせる事象や人を引き寄せる、と言います。学生たちに向けたアドバイスもありました。「〝いつか金持ちになる〟〝夢をかなえる〟と思うことは悪いことではない。だけど、まずは今の状態を良くしないと〝いつか〟はやって来ない」と語り、「気持ちの持ち方次第で、物事の捉え方や見える情報が変わってくる。今を大切にしよう」と呼び掛けました。予定されていた時間はあっという間に過ぎ、時間を延長して聴講者からの質問を受け付けてくれた武田氏。いつまでも話を聴いていたい、そんな思いに駆られる講演でした。学生からの質問一般の方からの質問

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