福岡大学学園通信 No61
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地域の医療機関との連携強化、退院・転院・治療継続のために患者さんや家族が抱える問題への相談・支援を行っています。福岡大学病院地域医療連携センター医療相談窓口では、病気やけがに伴って療養が必要になったり、社会生活に問題が生じたとき、患者さんやご家族から実情を聞き、ソーシャルワーカーが解決のサポートを行います。ソーシャルワーカーは社会福祉に関する法律や制度を熟知した専門家で、患者さんに寄り添い、社会復帰の促進を図る役割として重要な存在です。寄せられる相談は、医療費や生活費の心配、社会保障制度や福祉制度のこと、退院後の生活など多岐にわたります。ソーシャルワーカー歴30年の田村さんは「最近は一人暮らしの高齢者が増え、地域や人とのつながりを見いだすのが難しくなりました。患者さんの希望を第一に考えながら病院内外の人と連携し、サポートしています」と穏やかな表情で話してくれました。患者さんやご家族のあらゆる相談に対応する医療相談窓口地域との連携を表す指標として、本病院へ患者さんを紹介してもらう「紹介率」と、治療後に本病院から地域の医療機関を紹介する「逆紹介率」があります。2010年度の紹介率は69%、逆紹介率は38%でしたが、16年度には紹介率86%、逆紹介率70%に上昇。「センターの地道な活動が大きく寄与しています」と宮本センター長は確かな手応えを感じています。「患者さんが安心して地域に戻るためにはフィジカル面、メンタル面、ソーシャル面での支援が必要。人材豊富で経験豊かな本病院だからこそ、どのような方にもきめ細かな対応ができます。〝福大病院は対応がいい〞と言われることも増え、スタッフの意識も高まっています」。今後も地域の医療機関などとの連携を広げ、深めながら、地域医療の中核として、その責任を果たしていく方針です。地域医療の中核病院として周囲の医療機関との協力体制、信頼関係の構築は欠かせません。スタッフは専用車を使って定期的に各病院を訪問し、連携強化に努めています福岡大学病院新館1階にある地域医療連携センターのオフィス。前方連携と後方連携の部署は隣接しており、スタッフは情報交換をしながら業務に当たります福大病院への紹介数は、福岡市早良区、城南区を中心に各エリアで増加しており、地域の医療機関と連携が進んでいる様子がうかがわれます34FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE April 2018Close-up早良区01,0002,0003,0004,0005,000■地域別紹介数城南区西区糸島市中央区南区博多区東区糟屋郡春日市大野城市筑紫野市平成29年度平成28年度

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