福岡大学学園通信 No61
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20FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE April 2018一人一人の気持ち、行動がイノベーションを起こす館内放送。それまで女性職員が1日2〜3回、定期アナウンスをしていたものに、男性による自動英語アナウンスを追加しました。国際化と多様性を先取りした試みは好評で、2016年9月のリニューアルに伴う休館までこのアナウンスが流れていました。毎日作品に向き合い、学芸員たちと話すうち、美術の持つ魅力にも引かれていきます。芸術家の立場に寄り添った運営によって信頼を得ることができ、この時に築いたネットワークは、後に担当となったアジア太平洋博覧会(1989年)で大いに生きてきます。地下鉄営業、施設建設、市営住宅関連…さまざまな職場で工夫と努力を繰り返し、職務を全うしながら着実にステップアップを続けた中園さん。「振り返れば、本当に無駄なことは何一つありませんでした。苦手なこと、嫌なことでもきちんと向きあえば、そこで得られたスキルや人脈が、どこかで生きてくる。そう実感しています」副市長は、市長と担当各局の橋渡し役とも言え、それぞれの考えを翻訳して、相手に伝えることが求められます。市長の思いを市政に的確に反映するためには、その思いをくみ取り、これまでの経験を加味しながら各部署に伝え、答えを導いていく力が欠かせません。「いま振り返ると、大学でさまざまな立場の方を知り、話ができた経験は大きな財産になっています。受験に失敗せずに大学に進んでいれば、どんな人間になっていたか自信はありません」と苦笑します。「苦悩の末に選んだ進学先でしたが、人にはいろいろな価値観があることを学びました。大学は、自分が変わる入口だったと思います」。最後に学生たちへメッセージをお願いしました。「数年後に人口160万人に達しようとしている福岡市は、イノベーションを起こし、新しいことに挑戦していかなければ発展はありません。学生の皆さんも、どんなに小さなセクションであっても、イノベーションを起こす気持ちを持ってほしい。小さくても志を持てば、社会はもっと良くなるはずです」副市長になったことを成功とは思わない。ただ、なった以上は職務を全うしたい、と語る中園さん。「私は優秀な学生でも、職員でもありませんでした。ただ、手抜きだけはしなかった。その積み重ねによって今の私がある。そう思っています」福岡市健康づくりサポートセンター「あいれふ」(福岡市中央区舞鶴)は中園さんが建設に携わった。建物正面にあるキース・ヘリングの彫刻作品は、美術館勤務時代の友人を通してニューヨークから買い付けたもの福岡高校の先輩でノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典東京工業大学栄誉教授と2016年4月の熊本地震では福岡市水道局職員を熊本へ派遣。担当副市長として訓示を述べる2017年5月の「博多どんたく港まつり」で巡視船「やしま」体験航海に参加港湾空港局担当副市長として、2016年から福岡~ヘルシンキで運航する航空会社・フィンエアー(フィンランド)を表敬訪問。就航への感謝を述べ、福岡市の需要拡大策などを説明した七福神に扮し、節分祭のPRを兼ねて市役所を表敬訪問した留学生たちと記念撮影疾走の軌跡~写真で振り返る、あの日・あの時~経済観光文化局担当副市長として「博多祇園山笠」の台上がりを経験

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