福岡大学学園通信 No60
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就職・進路良いものを作るために自分はどこで勝負すべきか常に足下を見て道筋をつける。「失敗」という言葉はない全てが糧、悔しさも創作の力に本伝統工芸展を見に行った福島さんに衝撃が走ります。 「これはすごい。全然違う」 それもそのはず、日本伝統工芸展は人間国宝の作品の披露を主旨としており、全国の県展で最高賞を取った人間でも入選が難しいレベルの作品が集っていたのです。福島さんはすぐに図録を購入。穴があくほど読み込みました。 「良いものを食べれば舌が肥えると言いますが、工芸も見続けていれば徐々に上質なものが分かってくるのです」 次なる目標は、日本伝統工芸展入選でした。 小石原焼の全国での認知度の低さも、福島さんの心を奮い立たせました。 「良いものを作れば認めてもらえる。そのためにはもっと勉強して、自分にし 福島さんが最初に取り組んだことは目標設定でした。先輩に倣い、まずは県展への入選を目指そうと決めます。朝8時から夕方6時までは他の弟子と同じように湯呑み200個を作るなど父に与えられた仕事をこなし、それからが自分の作品作りの時間。高校の化学の教科書を引っ張り出して独学で釉薬の勉強を始め、原料の調配合と向き合いました。 歳月が過ぎ、ようやく県展に自分の作品が並ぶ日が来ました。ただ、「うれし恥ずかしかった」という気持ちも束の間、偶然同じ日に別会場で開催されていた日15FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE January 2018日本伝統工芸展の作品に衝撃さらなる高みを目指す東峰村の「ちがいわ窯」のギャラリーにはこれまで福島さんが制作してきた作品や賞状が並ぶ。隣の棟が作業場

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