南極通信⑲―第58次南極地域観測隊の活動を写真付きで紹介―(3月14日~20日)

福岡大学理学部・林政彦教授(地球圏科学科)が、第58次日本南極地域観測隊の一員(福岡大学海外研究員)として、平成28年11月末にオーストラ リア西海岸フリーマントルで南極観測船「しらせ」に乗船。12月22日、南極大陸に上陸し、約40日間、無人航空機を用いた大気微粒子観測、大気放射・降雪・雪面観測などを実施し、南極大陸上の大気と氷床の相互作用が環境変動に及ぼす影響を調査しました。3月20日現在、南極を離れ、オーストラリア・シドニー港に到着し、帰国の準備をしています。

なお、本コラムは、南極における日本の南極地域観測隊の活動の様子を、第58次南極地域観測隊員である林教授の観測隊生活を通じて、広く社会に広報することを目的に紹介しています(日時は現地日時)。

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シドニー目指して、東経150度線北上!大地を目指す。

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緑の大地(シドニー)

【3/14】南「国」大学開催。若者(大学院生程度)に自由な話題でしゃべってもらおうという企画。ペンギン、地質、成層圏微量気体など、多彩で楽しい。しかし、緯度40~60度は、いわゆる「暴風圏」傾きは以前のしらせほど激しくないので、だいぶ楽。でも、何となく気分は重たい。

【3/15】南緯55度線通過。ここから先は、給与上の極地手当が支給されない地域になる。

【3/16】ひたすら北上する。船上観測も継続する。揺れる揺れる。かなり気分が重たい。強い眠気に襲われ、食事の前に寝てしまう。そうすると、食欲が今一つ。そんな日が続いている。

【3/17】久しぶりの好天。揺れも収まってきた。オーストラリアの経済的排他水域内に入る。久しぶりに艦上体育、30分間甲板上を走る。やはり気分がいい。ふと、3月18日が福岡大学の卒業式ではないかと思い出し、学科の卒業パーティ向けのメッセージをしたためる(実際には3月19日だった)。

【3/18】雲が多いが、それほど荒れていない。昼過ぎから、しらせ100周マラソンをやるとのこと。1周約200m。ハーフマラソンに相当する距離。100周はしんどいなと思っていたら、4人で25周ずつリレーで参加しようと声がかかる。それはいいアイデアということで、10周、10周、5周に切り分けて4人で100周。程よい運動だった。なんだか、100周も走ってみたいような気がしてきた。

【3/19】本日中にシドニー沖まで着くかと思い、朝の時点でサンプリングを終了させる。

【3/20】朝食後、第1観測室の観測装置をすべて停止させる。ほっと一息という感じだ。そうこうしているうちに、朝10時、しらせがシドニーに入港した。久しぶりに見る「緑」(写真)。

いつも感じること。確かに南極の景色は美しい。でも、生物相の豊かさはない(水中は、結構豊からしいが)。そんな対比がまぶしい。20年前に見た、オペラハウス、ハーバーブリッジは20年前と変わらずに私たちの目の前に姿を現した。そして、着岸。入国審査を船内で行い、南極観測の終わりを感じる。しらせは、静かにたたずむ(写真)。22日には、空路、帰国の途に就く予定。

南極通信も本日をもって終了したい。

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オペラハウス(シドニー)

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シドニー港に入港したしらせ

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