〔研究者コラム〕ー「未来の貿易と社会貢献(最終回)」未来貿易と社会貢献ー

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田代 安彦 教授

商学部の田代安彦教授が全5回シリーズでお届けするコラム「未来の貿易と社会貢献」も今回で最終回となります。

田代教授はかつて出光興産に勤務し、約11年間中東を中心に海外5カ国に駐在。エネルギー分野での通商を担当していました。1990年クウェート駐在時には湾岸戦争に遭い、家族と共にイラク軍の人質になった経験もあります。

商学部では海外での豊富な実務経験を生かし「貿易商務論」を担当。実業と学業の架け橋を目指して活動しています。

田代教授のプロフィルや研究情報はこちらをご覧ください。

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今回は最終回、若い人達が今後どのような貿易に取り組んでいくのかを考えます。

私達を取り巻く環境には、世界人口の増加(江戸時代初期5億だった人口は、現在70億超)、それに伴う資源(エネルギーや食糧)消費増、貧富の格差拡大、逆に日本をはじめとした先進諸国の少子高齢化などさまざまな問題があります。

これまで日本が築きあげてきた多くのノウハウは、自国の問題解決はもとより、今後増加してくる新興国の中間所得層の生活向上ニーズに寄与すると思います。それらは、単なる製品というより仕組みを含めた需要で、そこに日本の強さがありますが、今後整備が必要なものもあります。例えば、九州国立博物館の自然エネルギー利用等の優れた技術に、ドイツのパッシブハウス基準(年間一次エネ消費120KWH/m2以下等)のようなしくみが加わると、鬼に金棒です。

<省エネの例>

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ドイツ パッシブハウスの概念
(毎年国際会議で基準、技術を評価する)

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九州国立博物館(すぐれた自然空気利用冷暖房技術)

また、いつの時代も大切なのは人と人の信頼です。中東、尖閣等の資源問題も、マレーシアのように隣国や国際機関との話し合いで解決した例もあり、参考にできそうです。例えば、今後天然ガスの開発が期待されるイスラエルに積極支援する一方、中東湾岸諸国やイラン等との平和を模索する対話推進の役割なども、和の心を持つ日本ならば、一役買うことが出来るのかも知れません。

<東京銀座のペッパー君と還暦の私の会話>

ペッパ―君「日本の少子高齢化をどう思います?」

私「そうねえ。早く優れた講義ソフトを作り、君と一緒に福岡で学生に種々良いヒントをあげないとね。」

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自国、相手の強み、弱みを知り、互いに補完し合う。物流を改善する。第1回から5回まで述べてきたことは貿易の基本ですが、それを時代にマッチした仕組みや技術で工夫する。そこに貿易と社会貢献の未来を解く鍵があります。


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