福岡大学の大気汚染観測拠点機能が大幅に強化

福岡の環境変動と健康への影響について研究

大型連休中に飛来した黄砂の組成が明らかに

大型連休終盤の5月6日の昼過ぎ、福岡に黄砂が飛来。この黄砂の飛来の様子は、下記の福岡大学「福岡から診る大気環境研究所」のウェブサイトで確認できる。同研究所は、気象庁の発表はないが、5月2日にも汚染物質を付着させた黄砂が飛来したのではないかと思われる現象を観測している。一方、5月7日からの本格的な黄砂は、汚染物質は少なく、純粋な黄砂に近い組成であった可能性が高いと指摘している。

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PM2.5増大時に硫酸イオンなど、汚染物質の濃度が増大
 4月19日午前0時頃、福岡市の複数の観測サイトでPM2.5濃度の1時間値が、日平均の環境基準値である35?g/m3を超えた(環境省大気環境モニタリングネットワーク「そらまめ君」による)。
 同じころ、福岡大学キャンパス内に平成28年度末に設置し観測を開始した、環境省のPM2.5成分分析装置が計測している硫酸イオン、硫黄、重金属成分の濃度が急増した。この時のPM2.5の増大が汚染物質の急増に対応していることを示している。福岡大学で20年来行っているライダーによる上空のエアロゾルの観測と、昨年末に北海道大学の協力の下で設置したドップラーライダーによる風の観測は、北西風に乗って汚染物質が地表面近くを流れ込んできたこと、そののちに、上層から黄砂と思われるエアロゾル層が降下してきたことを示していた。
 
福岡大学における、PM2.5と黄砂の観測機能が大きく拡大

福岡大学理学部では、20年来にわたって福岡の大気の観測を行っている。2014年に産学官連携研究機関「福岡から診る大気環境研究所」(所長:林政彦理学部教授)を設置し、国内の多くの大学・研究機関と共同で、越境して流れ込んでくる物質と福岡の都市排出物による福岡の環境変動とその健康影響についての研究を進めている。平成28年度、これらの観測装置に、環境省のPM2.5成分分析装置による詳細な多成分の連続分析機能と、ドップラーライダーによる福岡平野の風の詳細な観測機能が加わった。福岡の大気環境変動機構の理解を大きく進展させようと、観測・研究を続けている。



【お問い合わせ先】

福岡大学 理学部地球圏科学科 教授 林 政彦
電話:092-871-6631(代)(内線 6168) メールアドレス:mhayashi★fukuoka-u.ac.jp
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