福岡大学学園通信 No58
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aiArtificialIntelligence●大量データの分析●一定の法則性を習得●自ら判断して行動03FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE June 2017 スマートフォンの「仮想アシスタント」やパソコンに表示される広告など、人工知能(AI)の技術を用いた商品やサービスが増えています。今後その活用は幅広い分野で進むことが予想され、社会生活や仕事などの在り方を大きく変えると言われています。AIに関連する研究をされている先生と今後このAI社会と向き合っていく学生に現状認識と未来について話し合ってもらいました。●人工知能(以下AI)に関する話題が、近年新聞や雑誌などで盛んに取り上げられるようになっています。AIの現状をどう見ていますか。鶴田 これまでの歴史を振り返ると、人間の知的な活動である情報処理をコンピューターによって高速化を図ってきました。AIの導入・普及が進んでも、基本的にその枠組みは変わらないと思いますが、今までできなかったことが実現可能になる点で、どんなサービスやアイデアが出てくるのか注目しています。画像解析の分野で例を挙げると、現在でもインターネットで画像検索はできますが、現状は人が一つ一つの画像にキーワードとなるものを埋め込んでそれによって検索キーワードとひもづき画像が表示されています。しかし、今後はイメージに近い画像をアップしたり、「素敵な家を探したい」「自分の好みはこんな感じ」など抽象的な表現をするだけで、それに近い画像がAIによって検索され、高い精度で表示されるようになってくると思います。特 集※人工知能(AI)って何だろう?人文学部教育・臨床心理学科3年次生原 史美香さん▶論文『AIは人間の敵か―21世紀の人類に求められる能力についての考察』が、第27回福岡大学懸賞論文で優秀賞。当該論文は一部改編して『七隈の杜13号』にも掲載された。修士(農学)、博士(経済学)。研究領域は組織論、商品開発、UXデザイン、産学連携教育など。企業と連携した商品開発プロジェクトのほか、京都大学高等教育研究開発推進センターの「MOSTフェローシッププログラム」にも参加している。商学部森田 泰暢准教授◀社会を考えるCHECKAIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略で、推論や判断など人間の行う知的な機能を持ち、コンピューター上で作動するソフトウエア。従来のコンピューターや産業用ロボットなどが、人間が設定・入力したルールに基づいて動いていたのに対し、AIは各種センサーなどから大量のデータを取得・解析して、一定のパターン(法則性)を自ら習得し、判断できる。こうした「機械学習システム」と呼ばれる技術は、コンピューターの処理速度の向上やSNSなどの普及で大量のデータ(ビッグデータ)を取得・分析できる環境となったことで急速に発達した。中でも人間の頭脳を構成する神経回路網を再現した「ディープラーニング」と呼ばれるアルゴリズムによって、「画像認識」や「音声認識」などのパターン認識技術が大きく進化し、各分野で応用されている。KEY POINT

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