福岡大学学園通信 No58
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35FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE June 2017 18歳人口が再び減少し始める2018年問題、私立大学等経常費補助金が不交付になる入学定員超過率の厳格化、大学設置基準による平均入学定員超過率に係る要件の厳格化、さらには、平成31年10月に予定される消費税率の10%への引き上げ等、福岡大学をめぐる経営環境は、これから厳しさを増す一方です。しかし、このような経営環境の下でも、社会が本法人に求める役割と期待に応えていかなければいけません。平成29年度予算は、教育・研究・情報・医療・健康体制および社会貢献の整備・充実ならびに経営基盤の強化という重点施策を柱として編成されています。教育関係では、図書館情報システムの更新を予定しています。また、入学前予約型給付奨学金『七隈の杜』やアジア諸国との関係を中心としたグローバルな人材の育成を推進する事業が盛り込まれています。研究関係では、研究ブランディング事業を新設します。メディカル部門では、福岡大学病院は戦略的・統合的な地域医療連携体制の構築に努めます。筑紫病院は在宅医療への支援を開始します。また、福岡大学博多駅クリニックは女性医療に注力するとともに、外国人向けの検診等を積極的に取り入れます。施設関係では、工学部棟(仮称)新築工事や5号館別館他8棟の耐震改修工事を予定しています。さらに、学長によるガバナンスを強化するための学長裁量経費や本学公式ウェブサイトの更新経費を計上しています。本法人は、さまざまな施策において「学生・生徒のため」「患者のため」「地域のため」という視点を重要視し、さらなる充実に取り組んでいきます。また、学校法人会計基準が求める「学校法人の作成する計算書類等の内容がより一般に分かりやすく、社会から一層求められている説明責任を的確に果たすことができるものとする。」という考え方を実践していきます。教育・研究・医療の一層の充実に向けて、限られた資本を「選択と集中」により有効に投じ、強固な財政基盤を目指す学校法人福岡大学の平成29年度予算は、3月23日に開催された理事会および評議員会の承認によって、成立しました。この予算には本学の目指す道が明確に示されています。平成29年度 学校法人福岡大学収支予算学校法人福岡大学財政担当副学長中川 誠士新入生を対象に、入学前に給付を確約する奨学制度として、「七隈の杜 給付奨学金」「七隈の杜 第3子以降特別給付奨学金」を継続します。また、海外研修や海外の大学との学生交流等、学部・学科でそれぞれの専門性を生かした専門課程のグローバル化を進めるとともに、グローバル人材を育成するプログラム「グローバル・アクティブ・プログラム(G.A.P.)」の充実および拡大を図ります。さらに、施設・設備関係として、工学部棟(仮称)新築工事および5号館別館他8棟の耐震改修工事を行い、教育環境の整備を図ります。研究部門の8つの基盤研究機関研究所による研究を進め、研究基盤の充実を図ります。また、産学知財部門の11の産学官連携研究機関研究所による研究を進め、研究成果の実用化等の促進を図ります。さらに、本学におけるこれまでの多岐にわたる研究成果や地域貢献事業を、総合大学の特色を生かした新たな研究ブランディング事業として編成し、大学のブランド力向上を図ります。福岡大学病院は高度急性期医療の機能を維持し、病院が主体的に大学と連携しつつ、戦略的・統合的な地域医療連携体制の構築に努めます。筑紫病院は地域の医療機関と一体的な医療の提供に努め、医療機能の分化と連携を推進し在宅医療等への支援を開始します。また、福岡大学博多駅クリニックは女性医療(美容、形成、産婦人科、乳腺等)に特化した診察スペースを提供するとともに、外国人向けの検診等を積極的に取り入れます。大規模災害発生に備え、福岡大学総合体育館を中心とした避難計画および防災マニュアルを作成し、行政・地域と連携して防災訓練を実施します。防災とあわせて災害等の不測の事態でも、本学の基幹となる事業を中断することなく継続あるいは可能な限り短期間で復旧させるための体制整備に向けた福岡大学BCP(事業継続計画)策定について検討を行います。また、学び直しや社会人の多様なニーズに対応した生涯学習環境の整備の一環として、公開講座(福岡大学市民カレッジ)を幅広い世代へ提供します。財政基盤の強化と予算編成内容の見直しをはじめ、収益事業等の推進、外部資金獲得事業の推進、大学病院の経営改革等に向けての取り組みを行います。本法人の平成29年度事業活動収支予算は、毎年度の収支状況を判断する基本金組入前当年度収支差額の点で、前年度とほぼ同額ですが、経常的な収支状況を表す経常収支差額の点で支出超過であることや予期しない支出に対応する予備費を減額していることを考慮すると、安定性および弾力性に欠けた予算であると言わざるを得ません。また、良好な教育・研究・医療環境を維持するための施設・設備等の取得費である基本金と比較すると、基本金組入れ余力以上に投資が行われていることになります。この状態が長期間続けば、将来的な設備投資余力が小さくなり、教育・研究・医療の永続性が担保できなくなります。今後、学生生徒等納付金が確実に減少する中、「福岡大学ビジョン2014-2023」に基づく事業計画を積極的に支援し、限られた予算財源を重点事業に傾斜配分するとともに、一方では、経常的な経費について、コストに見合う教育・研究・医療サービスを提供しているか、点検・見直しを行っていくことが必要になってきます。本学関係者のご理解とご協力をよろしくお願いします。1.教育体制の整備・充実3.医療・健康体制の整備・充実4.社会貢献の整備・充実5.経営基盤の強化本年度の予算については、次の5項目が具体的な施策として盛り込まれています。▶ 重点施策および内容2.研究・情報体制の整備・充実

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