福岡大学学園通信 No58
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1専門性や経験を生かし、地域医療間連携や在宅医療支援に取り組む看護師の皆さん。「退院後も安心して自宅療養ができる手助けをしてきたい」と使命感に燃えています 2地域医療支援病院として、医療従事者への研修会開催にも積極的に取り組んでおり、病院外からも多くの方が参加しています 3患者さんが入院してすぐにスタッフ間で「方向性カンファレンス」を行い、退院後のことを早めに検討します糖尿病等の生活習慣病に対しても地域医療連携を推進 地域医療支援センター長の小林先生は、以前より糖尿病の疾病管理にも意欲的に取り組んでいます。糖尿病をはじめとする生活習慣病は日常において症状を感じることがほとんどなく、月一回の診察では患者さんが食事や運動療法を続けるモチベーションが保てません。そこで、第三者的管理専門機関(福岡市博多区)を設置してアウトバウンド型コールセンターが専門医・かかりつけの医師と患者さんとのかけ橋になる独自の医療サービスに取り組んでいます。また、看護師を現場へ派遣し、医師はITを活用して遠隔で診療できる「遠隔医療」を提唱して、受診の困難な患者さんの職場や自宅を訪問診療するシステムづくりを進めています。医療スタッフが病院外に出て地域の人を支える時代へ「在宅支援室」(仮称)を新設して退院後のサポートを強化います」と説明します。 本病院では、地域の医療機関から紹介された患者さんを受け入れる一方、急性期の治療が終わった患者さんをかかりつけの医師等へ積極的に紹介しています。また、医療従事者に研修を行うことも、地域医療支援病院として大きな役割の一つです。2016年度は131回の研修を開催。地域の医師や看護師、介護福祉士など計6,600人の参加があり、病院外からの参加者は7割を超えました。 「本センター開設から10年、地域の医療機関や福祉施設などの方々と〝顔の見える関係〞を築いてきました」と大畑さんは振り返ります。 今春、看護部に「在宅支援室」(仮称)を設置しました。高齢化が進む日本において、退院後に自宅で療養する患者さんは増えると予想されています。退院した患者さんが自宅に戻り、ケアを必要とする場合は、訪問看護ステーションの看護師に引き継ぎます。こうした在宅医療の支援を強化すべく、2016年度は退院した患者さんのうち15人の自宅を看護師が訪問してその様子を確認するとともに、ご家族からの訪問看護の相談にも乗りました。 「私たちが伺うと安心できると皆さんに喜ばれ、うれしかったです。入院中には話されなかった患者さんの本音も聞け、私たちが自宅に伺う意義を見いだすことができました。何より患者さんにとって自宅で暮らすことが、どんなに良いことか実感できました」と、副看護部長の山口美和さんは手応えを感じています。 在宅支援室看護師長の後藤妙子さんも「わが家に戻りたいという患者さんやご家族の希望を叶え、安心して過ごしてもらえるように、地域の医療機関や施設の強みを生かして、より一層、支援を加速していきたい」と意気込んでいます。 小林先生は最後に力強くこう語りました。 「本病院には認定看護師12人をはじめ経験豊富な看護師が多数います。訪問看護師の方々に、より専門的なケアについてお話できますし、病院外に出ることで現場から学べることもたくさんあると期待しています。これからも地域の医療機関や医師会などと連携しながら、地域医療の中核病院として質の高い医療を提供できるように、スタッフ一同全力で取り組んでいきます」。 地域医療へのさらなる貢献を目指して、これからも挑戦は続きます。123

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