福岡大学学園通信 No58
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28FUKUOKA UNIVERSITY MAGAZINE June 2017これまでの研究で、「最大酸素摂取量50%」の状態を維持する運動が、心肺機能を高めることが分かりました。また、血液量を適正化して高血圧を防ぎ、動脈硬化を抑制する善玉コレステロールの増加をもたらすこと、糖尿病の治療に有効なことをもたらすことも明らかになっています。また、内臓脂肪型肥満、高血糖、高血圧、脂質異常症などが集積した「メタボリックシンドローム」改善の最も有効な方法であることを証明しています。田中 宏暁 教授Q.1研究テーマについて教えてください。A.健康増進や運動能力向上につながる運動処方の研究をしています。「スロージョギング」は生活習慣病の予防や健康増進につながるものとして、2009年にNHKの情報番組「ためしてガッテン」で紹介され、一気に広まりました。「スロージョギング」に関する本を日本のみならずアメリカ、韓国、ポーランド、台湾で出版したこともあって、学会はもとより講演会やイベントに招かれることが増えており、週末を中心に国内外を飛び回っています。Q.2学外での活動などを教えてください。A.「ニコニコペース」による「スロージョギング」の啓蒙活動をしています。37歳の時にフルマラソンを完走しましたが、想像以上に過酷でした。ところが46歳の時、自分のニコニコペースを算出し、そのペースで完走すると3時間30分から50分で走ることができるという結果が出ました。そのころは週末に少し走る程度で、かなり太っていましたから半信半疑でしたが、実際3時間30分で完走できたんです。それからマラソンが面白くなり、今でも国内外でフルマラソンを走っています。自己ベストは50歳の時に出した2時間38分48秒です。Q.3先生の趣味は何ですか?A.研究の成果を自ら実践し、フルマラソンに挑戦。研究への思いとオフの顔を知る3つの質問HIROAKI TANAKAPROFILE東京教育大学(現筑波大学)体育学部卒業。医学博士。1970年、副手として福岡大学体育学部に赴任。以後、准教授などを経て、88年教授。2009年から身体活動研究所所長を兼務する。研究分野は運動生理学、体力学、健康科学。2017年6月、アメリカ生理学会(APS:American physiology society)の学会優秀論文賞を受賞。スポーツ科学部研究スイッチ

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